★かつてスピルバーグ映画を中心に、父親が家族を守るために戦い抜くことで、最終的には巨悪や宇宙の侵略者から世界を救う、と言う図式の作品がたくさん作られました。 そのころ日本では、高度経済成長期からバブル期にかけて、仕事中毒で家庭を顧みない父親不在の家の子が荒れ、やがて家庭崩壊、学校崩壊へとつながって行くと言う社会問題が起こりました。 これらの経験を反省をした我々世代は、スピルバーグ映画をお手本として、家庭をとても大切にするようになりました。家族を大切にして、父親も子育てに参加し、家事も夫婦分担してこなす。そうすればそれを見た子供は素直に育ち、家庭が平和になって、やがてはあの映画のように、少しずつ世の中を良い方向に向かわせて行くに違いない、皆 そう思ったものです。 でも現実はどうだったんでしょう。世の中は良くなって来たんでしょうか。むしろたくさんの自己中家族を生み出してやしないですか。 じつは先日のボクシング「内藤×亀田戦」を見てそう思ったんです。あの亀田一家は物凄く家族の絆が深いです。亀田父は三兄弟を守るためならどんなヤツにでも立ち向かって行くし、お兄さんの興毅君もいつぞやチャンピオンになった時、父親を讃えて涙にくれていました。 でも何かが違う。僕はどしようもない違和感に襲われていたのです。「違う・・、家族の絆が深いだけじゃダメなんだ」って・・ かく言う僕も、それまでは「家族愛イコール正義」だと無条件に信じていました。が、亀田一家を見て考えが変わったんです。いくら家族愛が強くてもいい人とは限らないんだと。 そう言えば「ゴッドファーザー」なんかでも、母親に頭の上がらないマフィアの姿なんか描かれたいたように、犯罪者にだって家族愛はあるってことなんです。だから家族愛が万能の正義だと思ってはダメなんです。 しかしながら、我々の世代、スピルバーグ的家族愛に感動した世代って、今なお「家族を守ると言うことは、相手が誰であろうと最後まで戦うことだ」と思い違いしてしまった人が多いと思うんです。 たとえば最近は、子供を守るためなら、どんな不条理な要求でも学校にふっかけて来る「モンスターペアレンツ」って、スゴいのがいるそうじゃないですか。たぶん彼らも同じスピルバーグ世代のはずなんですよ。 ハタからは「理不尽な要求」に見えるのに、本人たちはそれが正義であり