★「ブレード隊2009延長戦」が終了して二週間が過ぎました。46km越えの激走が、すでに思い出になりつつあるのが不思議です。
これまでは終了後に「走行記」を書くのが恒例だったのですが、「ルートが決まっているサイクリングロードの旅」は変化が少なくて、内容をムリにひねり出さなくてはならず大変なので、今回は見送ることにしました。が、やはり何か物足りない気はします。
初めて「走行記」を書いたのは、ローラーブレードで八王子から山中湖(85km)まで行った時でした。動機としては色々あったのですが、そのひとつに、負け続きの弱小チーム「ゴブリンズ」の話題作りが有りました。
当時のゴブリンズは、勝ち試合が年に一回有るか無いかの弱いチームでしたが、「鴨川キャンプ」「部費年俸制度」、「チーム内スポーツ新聞ゴブリンズレター」など、他チームには無い話題作りをして、チームの存続をギリギリでつなぎ止めていました。
「ヒドく弱いチームなんだけど、あそこに行けば、必ず何か面白いことが起こる」、そう言うイメージを作ることで、ゴブリンズの存在価値を上げよう思ったわけなのです。
で、ブレード走行を敢行し、その走行記を面白おかしく書いて、ゴブリンズレターに掲載することを思いつきました。今はこう言うウェブサイトに書くことが出来ますが、当時はコピーして郵送すると言う方法でした。
これがけっこう反響が有ったらしく、物珍しさや好奇心で、人々が集まって来るようになりました。さらに、元々はCGプロダクションの社内チームだったので、転職であちこちの会社に散らばった知り合いにも根気よく発送した結果、CG業界で「いつかゴブリンズに入団したい」と言うヤツが増えてる、と言う話しも聞くようになりました。
ずいぶん昔ですが、仕事の打ち合わせに行って帰ろうとしたら、見知らぬ坊主頭の若い男に呼び止められ、「仕事に余裕が出来たらゴブリンズに入れてください」と挨拶されたことが有りました。それが先日も対戦した「高野連」の代表・高野氏でした。けっきょく彼はゴブリンズに入ったあと自分で新しいチームを作り離れて行くのですが、かつてのゴブリンズにはそんなエピソードも有ったと言う例ですね。
ところが、良い事ばかりでは有りません。当初こそ反響を呼んだブレード走行ですが、何度も重ねて行くと、チーム内に不協和音が出始めるのです。数名のメンバーから「自分だけ調子に乗ってんじゃないの?」と言う声を聞くようになりました。
その頃のブレード走行と言うのは、100km~200kmの距離を一般道や歩道に乗って数日間かけて滑り続け、しかも泊まる宿は行き当たりばったりと言う、一種の冒険旅行のようなものでした。もちろん冒険と言うにはあまりにチャチなものでしたが、しかし、どんなにチャチでも「冒険」というこの言葉は、「男」にとって特別な意味を持つ言葉だったのです。
何処かの見知らぬ人が「冒険」を成し遂げる分には、「感動した」とか「勇気をもらった」とか素直に賞賛できるのですが、これがごく普通の、身近な人間にやられるとそうはいかない、賞賛どころか逆にシャクにさわるらしいのです。
面と向かって「あんなの冒険の内に入りませんよ」とか、「こっちは仕事で大変なのに、いい気なもんですね」なんて、マジで言われたこともありました。一番ガッカリしたのは「ホントにそんな長距離を滑ったのかなあ」と疑われたことですかね。良かれと思ってやったことが裏目に出てしまい、しばらくは理由が分かりませんでした。
しかし男にとって「冒険」とは、特別な選ばれた人間のやること、簡単に語ってはいけないもの、そう言う手の届かない「憧れ」ように思われているのだ、と言うことがだんだん分かって来て、自分の行動が、そう言う男たちの逆鱗に触れてしまったのだと、やっと理解できるようになったのです。
まあ、一度でも一緒に長距離ブレード走行をやってみれば、それほど簡単で楽しいものじゃなく、絞り出すような勇気も必要とする、と言うことは、よーく分かってもらえるんですけどね。
それでもめげずに「ブレード走行記」を書き続けたんですが、けっきょく一番評判が良かったのは、熱中症のため体調を崩し、途中リタイアした失敗談、「幻のBOSO100マイル」だったと言う皮肉も有りました。
今はもう、そんなことを言う人もいなくなり、ここ数年は自分の楽しみのためだけにやって来ましたが、その作意の無さが良かったのか、昨年で最後のつもりが逆に人数が増えて、今年も「霞ヶ浦」に行って来たと言う次第なのであります。しかも、ひょっとすると来年あたりもやりそうな?気配すらある、と言うが現状です。
今回「ブレード隊2009延長戦」と名付けたのは、映画化された「木更津キャッツアイ日本シリーズ」&「木更津キャッツアイワールドシリーズ」のタイトルに引っ掛けたものなんです。
なので、来年も有るとすれば「ブレード隊2010クライマックスシリーズ!」とでもなるのかも知れません。
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