★もう、ずいぶん前のことなんですが、ある草野球サイトのフォーラムで、グラウンドの撤収時間についての書き込みが有りました。
「終了時間5分前になっても、なかなかグラウンドから出ないチームがある。トンボ整備や荷物出しも含め、5分前には完全撤収するのが球場使用のマナーである」
・・・と、言うのです。で、前のチームが5分前に撤収した後はどうするのかと言うと、この5分間は、次のチームの入れ替え時間に当てられると言うわけです。
たとえば「11:00 - 13:00」の2時間を確保しているなら、10:55から入場して荷物の搬入を済ませれば、11:00ちょうどからウォームアップを始められます。その分グラウンドを有効に使える、と言うのが彼らの言い分です。
なるほど、この人のチームは、しっかりしたマナーの良いチームで、対戦しても気持ちよくゲームが出来るはずだと想います。もちろん「5分前撤収」を言い出すからには、必ずや、自分たちも「5分前撤収」を厳守していることでしょう。
ところがです。残念ながらこの考え方を推し進めると、どうしても奇妙な?現象が起こってしまうのです。それを説明するために、簡単な図を描いてみました。次の図が、いわゆる「5分前理論」をグラフにしてみたものです。
どうでしょう?。草野球をやる人なら分かると想いますが、通常、グラウンドは2時間単位で各チームに貸し与えられます。この割り当てに対し、例の「前のチームは5分前に撤収、次のチームは5分前に入場可」理論を当てはめ、そのつど繰り返していると、けっきょくは「全体的に5分前倒しにしただけ」になってしまうのです。彼らが言うような、時間を有効利用したことにはならないのです。
せっかく管理者が「使用時間11:00 - 13:00」と線引きしてくれてるのに、そのルールを、利用者がわざわざ「10:55 - 12:55」と複雑に解釈する必要があるでしょうか?。どう見ても、利点の無いムダなことのように想えます。それどころか、フォーラムの書き込みのように、解釈の違うチームとの確執が起こってしまうケースも有るようです。
ならば、余計なことは考えず、与えられた時間通りに使用したらどうでしょうか。「11:00 - 13:00」なら、その2時間内ですべてを処理すればいいのです。
撤収については、
「12:50までに試合終了」
「12:55までにグラウンド整備終了」
「13:00前までに撤収完了(細かく言えば12時59分59秒までに)」
で、次のチームは、
「13:00ちょうどから入場」
と言うような感じです。これなら二つのチームがグラウンド内で混じり合うことも無いし、混乱も有りません。
それを表したのが下の図です。まっ、早い話しが、例の「5分」をそのまま後ろにズラしただけなんですけどね。
・・なんてエラそうに言っていますが、私には、彼らが何故「5分前理論」になってしまうのか、分かるような気がするのです。実を言うと、我々も草野球を始めた当初は、やはり「5分前理論」を実行していたからなんです。
では何故「5分前」なのか?。それには子供の頃の「しつけ」が強く影響していると想われます。
多くの日本の子供は、親や教師から繰り返し「時間を守りなさい!」と教えられます。それも「約束の時間には10分前に、遅くても5分前までには着いているように!」と執拗に叩き込まれます。この「5分前までに・・」と言うフレーズが、「美徳」として子供の心にこびり付き、条件反射のようになってしまうのです。
つまり日本人にとって「時間を守る」と言うことは、「時間ちょうど」じゃダメなんです。どうしても「最低5分前までにアクションが終了している」でないと何か居心地が悪いのです。それが無意識の内に「5分前までに出るのが礼儀だろ!」と言う球場マナーとして適用されていた、と言うことなんです。(推測ではなく、あくまで自分の体験から語ってますよ)
かつての我々もそうでした。5分前になったらドヤドヤとグラウンドになだれ込んで行き、残っている前のチームに無言の圧力をかける、なんて、今想うと、恥ずかしいようなことをしてた時期もあったんです。でも、それが正しいと思い込んでいたので、分からなかったんです。(20年も前なのでお許しを・・)
「書き込み」では、「これはルールの問題ではない。マナーの問題なのだ」と有ったのですが、それは違いますね。これは「ルールの問題」なのです。もっと言えば「ルール解釈の統一の問題」なのです。
出来れば、草野球のグラウンドでは「時間ちょうど」に統一した方がいいと想います。「5分前」では、せっかく管理者が設定した時間割りが無意味になってしまうし、また先に書いたように、解釈の違うチームとのモメ事になりがちなので・・
ただ、これまでの経験から言うと、最近は「時間ちょうど」を実践するチームの方が多くなっているような気はします。見ているとベテランチームほどその傾向は強いです。
逆に若くて勢いの有るチームほど「5分前理論」を押し付けてグラウンドになだれ込む傾向が見られます。これは自分の経験からも分かりますが、若い内はどうしても知らず知らず、「子供のころ心に埋め込まれた記憶」に動かされがちなものだからです。
とは言え、そう言う、子供時代のマインドコントロールから抜け出し、自分自身の思慮で物事が分かって来るころにはスポーツをする体力は落ちている、・・と言う皮肉もまた世の常では有りますな。
(注・しつけや教育もマインドコントロールの一種ですぞ)
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