★不思議な現象を取り扱ったテレビ番組が好きで、今年も色々そんなのを探しては見ていたのですが、フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」を見ていた時、「そう言えば、何年か前、変なことが有ったよなあ」と思い出したことが有りました。
*数年前ですが、実家の茶の間で、夕食も終わりテレビを見ていた時のことです。やはり同じ「奇跡体験!アンビリバボー」の心霊特集でした(現在は心霊特集は無くなりました)。父はすでに自分の部屋に行き、母親と自分の二人が茶の間にいました。つまり母親も同様の体験をしたので、私一人の錯覚では無いと言うことが言えると想います。
その日は「心霊特集」と言うことで、心霊写真などを映していたと想います。心霊写真は、よーく見ないと分からない物があるので、画面に目を凝らしていました。
すると不意に、家の玄関のドアノブをガチャガチャと回そうとする音がしたのです。玄関は、茶の間のガラス戸と廊下を隔てすぐ向こう側になります。もちろんカギは閉まっているのでドアを開けることは出来ません。
時計を見ると夜8時を回っていました。普通ならほとんど訪問者は無い時刻です。もしや遅い宅配便だろうか、とも想ったのですが、それならチャイムを鳴らすとか、「荷物です」という声かけなど有りそうなものです。「誰だろう?」と想っていると、また、ガチャガチャ、とノブを回そうとする音がするのです。
一緒に茶の間にいた母親が、少し気味悪がって「おまえ見て来てよ」と言うので、立ち上がって玄関へと向かいました。で、とりあえず「どなたですか?」と声をかけてみたのですが、返事はありません。「おかしいな」と想い、カギを外し、そっとドアを開けてみたのですが・・
・・そこには誰もいませんでした。
玄関から外を見て分かったのですが、門がキッチリ閉まったままの状態でした。訪問者があれば、何より先にジャバラ式の門を開け閉めする音で気づくはずなのです。特にその頃のウチの門はステンレス製で重たく、かなり大きな引きずり音がするので、気づかないはずはありません。それなのに、音を聴いた記憶が無いのです。(現在はアルミ製に変えました)
「気のせいだったのかな?」と想いましたが、ドアノブの音は二度、僕と母親の二人が同時に聴いていたので空耳では有りません。と言うことは、やはり誰かがいたのでしょうか。もし生きた人間の仕業だとすれば、ピンポンダッシュみたいなイタズラだったんでしょうか。それにしては門がキッチリ閉まっているのが変だし、あるいは、空き巣狙いか何かが、在宅か否かを確認したのち大急ぎで逃げて行った、とでも言うのでしょうか。
「誰もいないよ。何だろう?」と母親に声をかけ、そのあと、せっかくドアを開けたので?、素振りでもしようかとバットを持ち出して表に出てみました。
・・と、その時でした。庭の隅の暗闇の中に、何者かの、もの凄い気配を感じたのです。僕は一瞬にして凍り付き、身動きが出来なくなりました。それは異様な圧迫感で、こちらに迫って来るような感じがしたのです。
よく怖い映画などを見たあとに、シャワーを浴びるため目をつぶっていると、恐怖心から「何かが後ろにいるような気がする」なんて感じることが有りますが、あんな、淡くて希薄なもんじゃないのです。言葉ではうまく説明できないのですが、姿も見えず物音もしないのに、濃厚な塊となってこちらに迫って来るような、ハッキリとした感覚なのです。
そんなにも強い気配のせいか、一瞬、頭の中に「若くて小柄な男の姿」のイメージが浮かんだような気がしました。あれが世に言う「霊視」の感覚なのでしょうか。もともと霊能力など無いのですが、その時だけは見えたような気がしたのです。つまり、無能の者にも映像を送り込むくらい強い念を持った何者かがいた、と言うことなのかも知れません。(直感では「ウチに迷い込んで来た浮遊霊にほぼ間違いない」と想っていましたが・・)
もしこれが想った通り「浮遊霊」で、ドアノブを回すくらいの物理現象を起こすヤツだとすると、取り憑かれたら厄介です。
こんな時テレビ番組では、霊能者がお経や呪文を唱えて霊を追い払う、なんて展開になりますが、素人には除霊も浄霊も出来ないので成仏させることは出来ません。出来るとすれば「言葉による説得」です。霊と言えど生前は生身の人間だし、意識も思考力も有るので、言葉で丁寧に説明すれば、立ち去ってもらえることも有るのです。
よく怖い話しをしていると霊が集まって来る、なんてことを言いますが、あれは、さまよえる浮遊霊が成仏したくて集まって来るもんなのです。今回は、僕が心霊番組を見ていたことから、霊を信じる人なら自分を助けてくれるかも?と想ったのかも知れません。
なので「残念ですが、僕にはあなたを助ける能力はありません。どうか自分で成仏してください」と、ごく小声で(近所に聴こえたら「危険人物」だと疑われかねないので)数回に渡ってささやきました。
それを素直に聞き入れてくれたかどうかは分かりません。が、そのあと僕は、とりあえず家の中に引っ込み、1~2時間過ぎたころ、もう一度表に出てみたのです。すると、すでにあの異様な雰囲気は無くなっていました。もとの、風もなく蒸し暑い夏の夜がそこにあるだけでした。
あれから、ノブを回す音がすることも有りません。どうやら彼?は、助けを求めて再び何処かへさまよって行ったようです。
自分はまあ、憑かれなくて良かったのですが、見知らぬ場所でまた誰かを驚かしてやしないか、そう想うと申し訳なくもあり、妙に哀れな感じもしてならなかったのです。
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