★先日、NHK.BS2で、ユーミンのデビューアルバム「ひこうき雲」のマスターテープを、当時のスタッフが聴いて語り合う、「MASTER TAPE」と言う番組をやってました。
リアルタイムでそのアルバムを手に入れ聴き込んだ者としては、とても印象深い内容で非常に面白かったです。「手に入れた」と書いたのは、それが自分が買ったものではなく、友人からもらった物だったからです。
あれは中三か高一だったと思いますが、突然友人N君から「こんなダミ声、ぜんぜんダメ。あげるよ」と、手渡されたのがユーミンのデビューアルバム「ひこうき雲」でした。だから、いま保有しているLPレコードはこの時のものなのです。
もともとアイドル好きだったN君のことなので、ユーミンの特殊?な声は生理的に受け付けなかったのかも知れません。逆に、デビュー前から「天才?荒井由美」のウワサを耳にして、興味津々だった僕は大喜びで受け取り、全ての曲に衝撃を受けたもんです。ガロ、オフコースに続いて現れたユーミン、フォークソングに替わる新しい波がついにやって来た!、と感動ひとしおでした。
そのN君ですが、大学に入ると、学園祭をきっかけに音楽業界でアルバイトをするようになり、そのままレコード会社に入ってプロデューサーになってしまったのですが、彼はユーミンだけでなくオフコースも「ありゃあ売れないよ」なんて言っていたので、しっかり音楽を聴き分けてちゃんとやってるのかな、なんて、余計な心配もしたものでした。
聴き分けると言えば、ユーミンは「ひこうき雲」に収録されている「ベルベット・イースター」で、東京音楽祭と言うコンクールに出場したことが有りました。で、僕が見た限りでは「ベルベットイースター」が間違いなく一番だろう、と思っていたのですが、賞を取ったのは何の変哲もない別の曲だったので、ガッカリした記憶が有ります。
あの音楽祭に出品された作品で、「ベルベット・イースター」以上に、今も生き残っている曲が有るか否か、それを考えれば自ずと分かると言うもんでしょう。
その「ベルベット・イースター」ですが、フォーク・ソングと違って、ギターでコピーしようと思っても、なかなかコード進行を聴き取れないのが悔しかったのを思い出します。それだけフォーク時代より編曲が複雑になって、音楽性を増していたと言うことですね。
だから、「これはもはやフォークソングではない。かと言って歌謡曲でもない。まったく新しいタイプの音楽である」と言うことで、「ニューミュージック」と名付けられたと言うわけです。
まあ、なんてことはない、早い話しがポップスなんですが、当時ポップスと言えば、洋楽 (死語?) の、たとえばカーペンターズなんかのことを指していたので、日本の歌に対しては「ポップス」と言う概念すら無かったのかも知れません。何しろ、ロックも「日本語はロックに合わない」と、英語で歌詞を書くバンドがほとんどだった、そんな時代なのです。
そうやって記憶をたどって行くと、「ジャパニーズポップス」、つまり「J-POP」の黎明期は「ひこうき雲」によってもたらされたのかも知れない、・・なんてことを、ボンヤリと考えてしまうのです。
そう言えばあの頃、「ユーミン・小田和正・財津和夫」が、ニューミュージック御三家などと呼ばれてまして、その三人による企画シングル「今だから」がリリースされたことが有りました。ネットで調べてみたら、編曲は坂本龍一、ドラム高橋幸宏、ベース後藤次利、ギター高中正義などと、じつは相当豪華なスタッフにより作られていたようです。
僕も一枚持っていますが、ユーミンはそのレコーディングのことを、サタデーアドベンチャーと言うFMの番組で、「あの二人の感性には、まったくついて行けなかった」とのことで、「二度と一緒に仕事をすることは無いだろう」と言う意味のことを語っていました。
それを聞いて「へー、そんなものなのかなあ」なんて思ったのですが、まあ、音楽の趣味と言うのは、素人でもかなり個人差があるので、プロならなおさらのことでしょう。
多くのバンドが、最後はケンカ別れのようになって解散してしまうのは、その食い違いによるところが大きいのだと思います。かく言う自分も、ユーミンと小田和正氏の曲は好きなのですが、財津和夫氏の曲はどうしても受け付けないのです。・・おかしなもんです。
ユーミンは、元々日本画家を目指していたようで、多摩美術大学出身なのです。初期のアルバムの歌詞カードには、彼女自身が描いたイラストも載ってましたね。彼女だけでなく、この頃の多摩美からは芸能人がけっこう出まして、小室等氏とか竹中直人氏、ガロの堀内譲氏(マーク)なんかもそうでした。
また、ユーミンは美大受験のため「お茶の水美術学院」と言う研究所(予備校)に通ったことがあるそうです。僕も美大出身なのですが(年齢はユーミンより4~5歳?下)、その時に、お茶美でいっしょのアトリエだったと言う女性から、身なりも化粧もハデだったと言うユーミンの話しを聞いたことが有ります。
同時に、あの時の、ややハデだが、やせっぽっちでごく普通の女の子が、後々、日本中を巻き込むような大活躍をすることになるなどとは夢にも思わなかった、と言うことをも、ため息まじりに語ってくれました。
まったくそうかも知れません。僕自身にしても、友人から何気なく譲り受けたLP「ひこうき雲」が、日本の音楽界で数々のアルバム記録を更新することになる、その最初の一枚になるとは、想像すら出来ませんでした。
・・だから、もしかするとこれは、ある意味貴重な一枚(初版です)なのかも知れない、そんな風にも考えてしまうのです。
Commented by #31 at 2010-01-30 19:09
やはり見てましたか!?もし見てなかったら是非録画したのを見て貰おうなんて思ってました。マルチトラックの各パートをあんな風に、つまり抜粋して聴いたのは初めてです。それも、松任谷氏(旦那の方)でさえこんな聴き方はあまり経験した事がないような感じだったのが意外でした。実は私は2枚目のミスリムとそれ以降のコバルトアワー、14番目の月が大好きで数年前にCDを買ったら、リマスターされていたのか(そんなクレジットはどこにも無いが・・)、えらく音がいいのでびっくり!ミスリムはひこうき雲と同じスタジオ、同じエンジニアなのにボーカルのリバーブが多いせいか、より歌が上手くなったかのように感じたもんです。ですが、元々声を聴かせるタイプではなかったとは言え、最近のユーミンの声は悲惨ですね・・。スタジオで即興で歌うシーンでも、歌手以前のレベルですねえ・・。テレビでのライブも録画して見ましたが、声に幻滅してすぐ消しました。
Commented by 高橋10 at 2010-01-31 12:57
元々作曲家志望で、歌手になるつもりは無かったようなので、歌はしょうがないとも言えますが、以前NHKの番組で、ある大学の教授がユーミンの歌声の周波数を測定してみたら、モンゴル方面に伝わるホーミーとほぼ同じ周波数が出ていたそうです。これは聴く人に安らぎを与える脳波「アルファー波」を発生させる作用があるとのことで、それがユーミンが多くの人を引きつけた謎だったのかも知れない?との見解でした。ただ、最近の声には、その音波は出ていないような気もします。
Commented by 新妻 at 2010-02-01 16:43
私も番組見てiTunesでアルバム買ってしまいました。ところでクリスマスの約束2009はみましたか?今年は感想ないんですね。私はかなり感動しましたが。
Commented by 高橋10 at 2010-02-01 17:37 x
クリスマスの約束2009ですか‥‥ これに限らず、文章はとめどなく沸き上がって来るのですが、それを書き留めておく時間が無いのですよ。特にこの時には「年俸査定」に追われてまして‥‥ ですが「クリスマスの約束2009」は良かったです。感動と言うか、嬉しかったですね。かつて小田和正氏の曲は「暗い、軟弱」なんて言われて、表立ってファンだと言えない時代も有りましたが、今では、こんなに若いミュージシャンに支持される存在になったと言うことが、自分のことのように嬉しかったです。それと、20年以上前「We Are The World」を聴いて、アメリカの歌手の桁外れの歌唱力に仰天したものですが、いやいや、日本のボーカリストも凄くなって来ましたね。負けてません。
Commented by 新妻 at 2010-02-01 18:19
キャンプ中に、ぜひ次はアバター3Dで一筆お願いします。
Commented by 高橋10 at 2010-02-01 22:12
なるほど‥‥ まあ、なかなか注文通りには行かないのですよ。何しろ観てないし。
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