★僕は、草野球の試合では、主にセンターを守ることが多いのですが、たまに仲間から「守備位置が深いのでは?」とクレームが来ることが有ります。時折り、捕れそうな浅いフライに追いつけず、前に落としてしまう光景なんかを見ると、そう思うのかも知れません。(個人的には内野のあきらめが早すぎると想ってますが・・)
まあ確かに、昔より足も遅くなって、追いつけない当たりも増えて来たとは思いますが、ただ、この「センターの守備位置」と言うのは、約20年間、およそ350試合に渡る(守備機会数までは分からないが)、僕の草野球経験から割り出した「絶妙な?守備位置」なのであって、簡単に「ちょっと深いんじゃない?」と言われても、なかなか動かしがたいものなんです。
これまでの経験から言うと、実は、草野球の外野の守備位置には「三度の転換期」が有りました。一つは「ビヨンドマックスの登場」。もう一つは「新軟球登場」。そして「イチローのメジャー移籍」です。
まず「ビヨンドマックス」などの登場で、打球の質が変わったこと。ただ、ビヨンドの売りである「飛距離の伸び」の印象は少なくて、それより打球が、フックやスライスなど変化を起こしやすくなったことの方が、捕りにくくてショックでした。ウレタンなど、バット面の摩擦増大によって、ボールのスピンが強烈になったのが原因だと思われます。
次に「新軟球の登場」。これによって、打球の放物線の形が変わりました。「旧軟球」では、打球が放物線の頂点に達したあと、空気抵抗のため急激に勢いを失い、そのまま尻すぼみで下に落ちて来ていました。ところが「新軟球」では空気抵抗が少ない分、きれいな放物線を描くようになり、飛距離が伸びました。なので旧軟球のイメージのままで追って行くと、5m~10m頭を超されてしまうのです。
ですが、人間の感覚と言うのは不思議なもので、いつの間にか慣れてしまうものなんですね。直後はあまりの変化に、「もうオレは外野は守れない」なんて弱気になったりしたのですが、今ではごく普通に捕球しており、「なんであんなに戸惑ったんだったんだろう」なんて、不思議に思い出したりするのです。
前者の二つは道具による物理的な変化でしたが、「イチロー選手のメジャー移籍」は、草野球のセオリーそのものを変えました。それまでの草野球のバッターは「引っ張る」ことしか頭に無く、外野手は、右バッターならレフト寄りに、左バッターならライト寄りにシフトしていれば良かったのです。
ところがイチロー選手以後は、「反対方向」へ打つ素人バッターが急増し、守備位置の選択が非常に難しくなりました。反対方向へ打たれると、通常より10mは余計に走らなければならないのです。
これは明らかにイチロー選手の、左右に打ち分ける打撃スタイルが影響した結果です。それまでの草野球では、「反対方向」へ打つことは「振り遅れ」と見なされ、たとえヒットになっても「打者の敗北」を宣告されることが多かったのです。しかしイチロー効果ですっかり変わりました。反対方向へ打つことも「打者の勝利」と評価されるようになって来たんです。
もちろんイチロー選手は、オリックス時代からそう言うスタイルだったんですが、マリナーズへ移籍してからの方が、むしろテレビ中継される機会が多くなり、逆輸入の形で、日本のファンの「カルチャーショック」を引き起こしたのだと思われます。高校野球でも「ライト志望」の選手が急増したらしいですよね。
余談ですが、「右投げ左打ち」と言う人も激増しましたね。僕はおそよ40年前、小学校5年から「右投げ左打ち」になったんですが、当時も草野球を始めた当初も、「ええ?!。左打ちなの?!」と驚かれたんもんです。それが今では全然珍しいことではなくなり、チーム内に必ず一人はいますよね?。これもまたイチロー効果だと思うんです。
さて、こんな幾つかの「転換期」を経て、少しずつ僕のセンター守備位置は固まって行ったと言うわけです。この三つの出来事以前は、もっとずっと前の方に守っていました。ですが、現在では、昔のままだと守り切ることは難しいと思います。全体的に2~3m後ろに立つようにして、何とか安定した捕球が出来るようになりました。今でもチームごとバッターごとに、多少のシフトはしてますが、基本は「昔より深め」ですね。
それから僕の場合「やまかけ」はしません。失敗すると大ケガしますから‥。なので、たまに難しい当たりを捕った時に、「いい所に守ってたね(ホメことば?)」と言われることが有るのですが、あれはホントは心外なんですよね。「やまかけ」はしてません。だいたい定位置に立ってます。
それより大事なのは「バッターが打つ瞬間」がしっかり見えること。内野手やランナーでバッターが隠れてしまうと打球の方向が分からなくなるので、それを避けるために守備位置を移動することは有りますね。
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