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巨人ファンと自民党

*ついこないだ、2016参議院選挙が終わったかと思ったら、今度は東京都知事選挙・・、目まぐるしい数週間でしたね。

ところで、今からもう20年くらいも前になるんでしょうか?。これは久米宏さんが「ニュースステーション」をやっていたころの話しです。

確かあれも選挙前だったと思います。ニュースステーションで、各政党の政策・公約などをアンケートで聞くと言うのが有りました。で、その最後の質問が、久米さんの遊び心からなのか、「好きなプロ野球のチームは?」だったのです。

もう知らない人もいると思いますが、ニュースステーションは、始まった当初、金曜日だけ「金曜ステーション」と言って、ニュースネタをベースにした、クイズ有りランキング有りの、久米さん得意のバラエティ番組だったんです。・・記憶がおぼろげなんですが、その中のアンケートだったでしょうか?

当時は、自民党と社会党が二大政党と呼ばれていた時代で(もちろん自民が圧倒的勢力)アンケートは主にこの二大政党の、代表的な国会議員十数名?への質問でした。

で、その結果なんですが、
*自民党議員は、なんと全員が例外なく「巨人ファン」
*社会党議員は、一名除く全員が「阪神ファン」
(ちなみに、その一名はヤクルトファンでした)

面白いと思いましたね。やはり気質を表すんでしょうか。常勝球団と言われ、常に最強を求める「巨人」と、その最強を倒すことに生きがいを感じる「阪神」と言う図式は、当時の政治家たちの中にも生きていたと言うわけです。

では、一般の自民党支持者にも巨人ファンが多いのでしょうか?。・・じつは、僕の友人で巨人ファンの男が、一緒に酒を飲んだときに、「野球は巨人!、政治は自民党!」と叫びながら酔いつぶれたことが有りまして、「面白い酔い方だなあ」と思いつつ、やっぱりそうなのか?とも思ったものです。

統計で調べたことでは無いので断言は出来ませんが、これらの経験から思うに、どうやら「巨人ファン」と「自民党支持者」とは、多くの部分で重なりあい、リンクしているように思われるのです。

ちなみに僕は広島カープのファンです。・・いえ、もともと子供のころは、熱烈な巨人ファンだったのですが、中学1年の途中から、何故か急に広島カープのファンになり、今日に至っておるのです。

カープファンになった一番の理由は、まあ「へそ曲がりな気質」からとしか言いようが有りません。人と同じことをするのが嫌だったんです。色んなチームが有るのに、なぜこんなにも巨人ファンばかりなんだろう?と疑問が湧いてしまったのです。

それと、たまたま聞いた落語で、「こちとら江戸っ子よ。江戸っ子なら巨人を応援しなきゃ」なんて一説があって、巨人ファンとは、つまり「東京出身者」であるはずなのに、現実にはむしろ田舎の方が巨人ファンは多い、これはおかしくないか?と思ったのです。

だったら逆に、東京モンが地方のチームを応援したっていいじゃないか?と僕は考え、「どうせなら一番弱いチームのファンになってやろう。それならカープだ」ってことになったワケなのです。・・何となく、二番目に強い阪神で手を打つ、ってのは潔い感じがしなかったのです。(注・当時はセリーグ情報しか入って来なかったのでパリーグは考えに無かった)

とは言え、一度思い入れしたチームをすぐに忘れることは出来ないものです。中学の三年間は、広島ファンを公言しながらも、密かに巨人も応援すると言うクロスオーバー期間でした。

そうとは知らず、周囲の巨人ファンは、広島ファンを語り出した僕に対し、いきなり高圧的になりました。特に、カープが「セリーグのお荷物球団」なんて言われてた時代だったので、そのまさかの弱小チーム、広島に負けたりすると翌日はもう大変でした。負け惜しみや八つ当たりで散々な言われ方をしたものです。

最後には、「カープなんか応援してどこが面白いの?。負けてばかりじゃないか。巨人はいつも勝つから気分いいぞ」と笑われました。・・確かにカープファンになってみると、敗北敗北の連続で、苦痛の毎日でした。

が、物好きで始めたカープファンでしたが、巨人ファンからの言われなき中傷?を受けているうち、次第にカープへの思いが強くなり、引くに引けない本気のファンなって行ったのです。(若い頃って言い方が残酷なんですよね・・)

同時に、あれほど好きだったはずの巨人に対しては、少しずつ憎しみが湧いて来るようになりました。特に僕を嫌な気持ちにさせたのは、巨人軍がドラフトやトレードなどで起こした数々の事件?に対する彼らの言い分でした。

「巨人の勝利は、たくさんの人たちの一日の憂さを晴らし、明日の仕事の糧になってるんだよ。日本経済の発展には大事な球団なんだ。だから巨人がやる事は、多少のムリでも許されるんだ!」と、ごく真面目に、少しキレ気味に言われたものでした。

・・これは、何十年も前に聞かされた言葉なんですが、でも、つい最近、ニュアンスのとてもよく似た言葉を聞いた気がしたんです。かの「集団的自衛権」に対する、自民党と支持する人々の発言です。

「集団的自衛権は憲法違反である」と、多くの憲法学者たちが結論を出しましたが、それに対して、「憲法を後生大事に守っていたらその間に他国に攻撃されてしまう。だからたとえ違反だとしても、集団的自衛権の行使容認は正しいのだ」と、司法に対するリスペクトのまったく無い、「三権分立」をないがしろにするような発言を「真面目な顔」で「少しキレ気味」に?言ってました。

どうでしょう?。自分の思い込みのためなら、多少の決まりごとは蹴散らしてもかまわないって感じが、なんか似てる気がするんですよね。

そう言えば、産経新聞の何とか言うエライ人もこんなことを言ってました。
健康のためなら死んでもよいと同じ?。摩訶不思議な集団的自衛権反対論

新聞関係者の文才ってこんなモンなんスかね・・?

これ「我ながら上手いこと言ったもんだ」なんて思ってるんなら、・・笑っちゃいます。あっ、そうか、「憲法」と「健康」をシャレたかったんですね?

・・なんてね。そうじゃなくて、どうせ比喩するのなら、もっとキレイに文才豊かに?例えて欲しかったんですよ。

たとえば医療で例えたいのなら、こんなのはどうですか?
ドナーの脳死判定(合憲・違憲の判定)より、臓器移植を待っている患者(集団的自衛権)の方が大事。だから脳死判定なんか待っていられない

どうですか?。ずっといいでしょう?

つまり「集団的自衛権が憲法違反と判定されても行使容認は正しい」とする考え方は、医者が「脳は生きている。この人はまだ死んでいない」と言っているのに、脳死の判定基準を自分勝手に変更し、強引に臓器を取り出してしまったのと同じなのです。

それでも彼らは、「だとしても70歳を越えた老人より、移植を待っている若者の命の方が大事」と言いたいのかも知れません。だけど、それでいいんですかね?

だいたい、その若者はホントに死にかけてるんですか?。まさか、まだ起きてもいない「恐怖の妄想」のために、生きている人間から臓器を取り出してしまったんじゃないですか?

そもそも「集団的自衛権」とは、日本を守るためのモノでは無いのです。日本を守るのは「個別的自衛権」であって、「集団的自衛権」とは、同盟関係にある第三国の戦争、つまり日本に直接関係の無い戦争に自衛隊を派遣して、戦闘の手助けしても良いって言う法案のことなんです。

だから、「他国の戦争ために自衛隊員の命を無駄にするな!」との思いで「集団的自衛権」に反対することが、何で「健康のためなら死んでもよいと同じ」ってことになるのか、論理が破綻していて理解不能だと言ってるんです。

それと、わざわざ無関係の戦争に加担して、「ナンデ日本ガ、オレ達ノ国ヲ攻撃スルノダ?!」と逆恨みされ、後々日本人がテロの対象となってしまうかも知れない?ことさえも危惧しているのです。

「ちょっと待って、キミは何んの話しがしたいの?」と言われそうですが・・ そうでした。もちろんこんな話しをしたいのでは有りません。僕はいま、「巨人ファンと自民党」の話しをしてたのでした。

あのニュースステーションでのアンケートが行われてから、ずいぶんと年月が過ぎました。僕は、今もう一回、同じように政党議員へのアンケートをやったらどうなるだろう?と思ったのです。

あれから幾度も政界再編が行われ、巨人ファンも阪神ファンも入り乱れての状況となりました。なので、もはや一律に「巨人ファン = 自民党」とは、言えなくなったような気がするのです。

で、ふと気になって、都知事選の主な立候補者たちのプロフィールを調べてみたところ、面白いことが分かりました。増田さんについては不明だったんですが、鳥越さんと小池さんが、共に「熱烈な阪神ファン」だと言うことが判明したのです。

鳥越さんはモロに「自民党と巨人とは同じ」と言ってはばからず、「打倒巨人!打倒自民党!」と言うことで、昔ながらの古いタイプの阪神ファンだと言うことが分かりました。そこへ行くと小池百合子さんは、あえて自民党に在籍すると言う、鳥越さんとは違ったタイプの阪神ファンのような気がしました。

まあ、ウワサによれば自民党内からはかなり嫌われていると言う話しだし、今回の強行立候補にしても相当な反発を食らっていたようですから、自民党員としては異端児、らしからぬ思考の持ち主と言うことで、やっぱり打倒巨人の「阪神ファン気質」は隠せなかったのだなあ?などと、勝手に思ってしまいました。

そうして結果としては、「初の女性都知事誕生」と言うオマケまで付いて、圧倒的な勝利を収めたのですから、これは言わば、内側から巨人をブッ壊す!「侍ジャイアンツ」みたいなモンだと言うことなんですかねえ?。

・・ただ、あのマンガの主人公は最後にマウンドの上で死んじゃうので、あまりいい例えでは無いですかね? ・・失礼しました。

とは言え、この「阪神ファン・小池百合子都知事誕生」の結果に、根っからの自民党支持者たちは、どんな心情を覚えたのでしょうか。これもぜひ「アンケート」で調べて欲しいものですな。






  

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