★ネットニュースにこんな見出しが出ました。
「青年漫画の“教祖”、永島慎二さんが死去」
と言っても、それが何者なのかもう知る人は少ないでしょう。「柔道一直線」を描いた漫画家、と言えばいくらか思い出す人がいるでしょうか?。でもあれは梶原一騎氏の原作で、永島慎二氏のオリジナル作品ではないし・・
彼のオリジナル作品はもちろんたくさんありますが、僕が中学時代に夢中になって読んだものでは「漫画家残酷物語:シリーズ黄色い涙」「フーテン」「若者達」「新・雨月物語」などを思い出します。
それと「心の森に花の咲く」。このタイトルはとても印象に残っていて、ブレード走行記のタイトル「そして富士北麓に雨の降る」は、これをパロディさせてもらったものです。
中学時代の僕にとっては重要な人物でした。彼に憧れて漫画家を目指したようなものなのです。特に「漫画家残酷物語」。永島氏の若い頃で絵はまだ未完成ながら、ストーリーの完成度は非常に高く、僕が思うには、恐らく井伏鱒二氏の短編小説に匹敵するくらいの出来ではないかと思われるのです。
この「漫画家残酷物語」と「若者達」の二作品をベースにして、NHKの銀河テレビ小説枠で、「黄色い涙」と言うタイトルでドラマ化されました。
当時、漫画をシリアスなドラマにすると言うこと自体が珍しく、しかも出来がすこぶる良くて、名作と言われました。銀河シリーズでは唯一再放送された作品だそうです。脚本は市川森一さん。主題歌が小椋佳さん。出演は、これが出世作となった若き森本レオさん、下条アトムさんなど。
こんなにも永島慎二氏に憧れ、入れ込んだ漫画家への道でしたが、虫プロ発行の漫画専門誌「COM」が廃刊となったこと、それがきっかけで「絶対プロになろう!」と、一緒に漫画を描いて来た友達が漫画を捨ててしまったことがショックで、いっさいがっさいの漫画本を手放し、自分も漫画を捨ててしまったのです。
最後に描いたコマ漫画は、ある少年雑誌の公募で佳作入選したのですが、小さく名前とサムネールが出ただけでした。同じ頃、別の公募で大賞を取った「足立充」と言う16歳の少年が現れたのです(僕は14歳)。
「この少年は10年に一人の天才である。あえて欠点を上げれば、作品の完成度が高すぎること」との寸評は今でも忘れることが出来ません。彼こそが、数年後に「タッチ」と言う傑作を生み出すことになる、あの「あだち充氏」でした。
「世の中にはすごい奴がいる。こいつが10年に一人の天才ならば、オレは天才じゃないってことか・・」と、あの時完全にあきらめがついた気がします。
で、それからは油絵の方に力を入れ、美術大学を卒業したのですが、就職した「JCGL」と言うCGプロダクションには、「奥田さん」と言うアニメ監督がいました。
ある徹夜仕事の夜、休憩中にその人と漫画について話しをしていて、僕が「永島慎二のファンだ」と告げると、「なに?。あいつのファンなの?。永島はオレの友達だよ」と言うことになり、本当に驚きました。
「それならこんど紹介してやるよ」と言われていたのですが、JCGLと言うのは恐ろしく忙しい会社で、ついにそんなチャンスは来なかったのでした。
あれ以来、永島作品にもほとんど触れることはありませんでした。作品集を全部手放してしまったので、読み返すことも出来なかったのです。そうして年月が経ち、つい先日ネットで、そしてNHKのニュースでも永島氏の訃報を聞きました。享年67歳。80歳時代の今としては、やはり若すぎる感じがします。
民放のニュースではまったく見なかったのですが、NHKが丁寧に報道していたのは、かつての銀河テレビ小説の流れがあったからでしょうか。そう言えば、永島氏本人も通行人役で出演していたし、タイトルバックも永島氏が描いたイラストでした。
ホントに名作だったし、この訃報を聞いて、何とかもう一度見てみたいと思ったのですが、NHKアーカイブスで残っているんでしょうか?
★その後、友人よりコメントが寄せられました。
*友人A*
ビデオは残っていないようですね。市川森一さんのコメントを見つけました。
「ふるさと遺産 再生活用を目指して」
http://loveriver.net/opinion/ichikawa.html
もったいない。
*タカハシ*
そのようですね。あの頃のNHKは「少年ドラマシリーズ」とか「天下御免」とか、たくさん名作を作ってました。それらも全部消去されたようです。現場は優秀だったのに、管理職がダメだったってことですかね。調べたら、永島慎二氏の作品集もすべて絶版だそうです。「まんだらけ」などでは高値がついているとか‥‥
*友人B*
いっさいがっさいの漫画本を手放して・・しまったのですか・・!。
私は、永島さんとつげさんのだけは、いまも何冊か持ってますよ、ボロボロだけど・・。
ところで先日、新小金井街道をまっすぐ行った所の府中市立美術館にたまたま行ったら「石子順造的世界」というのに、つげ義春の「ねじ式」の原画(作家蔵)が初公開で、なんと全ページ展示されていて大変感激しました!。二度とないかも知れないので、必見かと・・(2/26まで)。
かつて、”その後”興味の移った、高松次郎、中西夏之、関根伸夫ら美術家の旧作の展示もありましたが、過ぎ去った「時代」への寂寥の感・・でした。
同時開催の「小山田二郎」の水彩画が実に素晴らしかった。お勧めします。
私は、永島さんとつげさんのだけは、いまも何冊か持ってますよ、ボロボロだけど・・。
ところで先日、新小金井街道をまっすぐ行った所の府中市立美術館にたまたま行ったら「石子順造的世界」というのに、つげ義春の「ねじ式」の原画(作家蔵)が初公開で、なんと全ページ展示されていて大変感激しました!。二度とないかも知れないので、必見かと・・(2/26まで)。
かつて、”その後”興味の移った、高松次郎、中西夏之、関根伸夫ら美術家の旧作の展示もありましたが、過ぎ去った「時代」への寂寥の感・・でした。
同時開催の「小山田二郎」の水彩画が実に素晴らしかった。お勧めします。
*タカハシ*
府中市立美術館の展示、面白そうですね。知りませんでした。つげ氏の原画は見たことが無いので、とても見てみたいです。少し寒さが緩んだら、ぜひ自転車で行ってみたいです。
あと、漫画は「決別」の意味を込めて手放しました。あの時はそのくらいのことをしないと、決心がつかなかったのだと想います。たぶん‥‥ ですが今になって、佐々木マキ作「うみべのまち」の復刻版を買ったり、つげ義春原作のラジオドラマ「つげ街道義春村字」の音源をネットで見つけてダウンロードするなどの行動に走ってる始末です。そう言えば「COM 40年目の終刊号」も、買おうかどうしようか、なんて迷ったりしてます。未練ですかね。
あと、漫画は「決別」の意味を込めて手放しました。あの時はそのくらいのことをしないと、決心がつかなかったのだと想います。たぶん‥‥ ですが今になって、佐々木マキ作「うみべのまち」の復刻版を買ったり、つげ義春原作のラジオドラマ「つげ街道義春村字」の音源をネットで見つけてダウンロードするなどの行動に走ってる始末です。そう言えば「COM 40年目の終刊号」も、買おうかどうしようか、なんて迷ったりしてます。未練ですかね。
*友人B*
「つげかいどう・よしはるむら・あざ」ダウンロードして聴きました。
「COM 40年目の終刊号」知りませんでした。早速 amazonで注文しました。
気がつけば、あの人も、あのヒトも・・・と、いなくなりました。
私もフェードアウトする前に、これからは時間を作って、あれこれ考えてみたいと思っています。
「COM 40年目の終刊号」知りませんでした。早速 amazonで注文しました。
気がつけば、あの人も、あのヒトも・・・と、いなくなりました。
私もフェードアウトする前に、これからは時間を作って、あれこれ考えてみたいと思っています。
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